NHK杯戦の渡辺竜王対久保棋王
○渡辺竜王の△6九銀が炸裂
1月31日放送のNHK杯テレビ将棋トーナメントは3回戦第8局。渡辺明竜王と久保利明棋王の対局でした。今期初のタイトルホルダー同士の対局ということで、注目のカードの一つ。
両者の対戦成績は渡辺竜王の2勝、久保棋王の8勝。両者ともに順位戦はB級1組のため昨年後半にも対戦したばかり(ちなみにこの放送の収録は昨年末)。スコア通り久保棋王は渡辺竜王が苦手の棋士の一人ですが、直近の成績は互角のように思います。
放送解説は井上慶太八段。久保棋王の出身地の加古川市に井上八段がお住まいということで、関西つながりですね。語り口は軽快です。
先手は久保棋王。初手5六歩で中飛車の戦型に。対する後手の渡辺竜王はどうするかと注目していたら三間飛車に。順位戦でも竜王は振り飛車にした対局がありましたが、振り飛車の時の勝率はあまり高くないような気がします。穴熊にはせずに美濃囲いに。手数をかけずに攻める方針でしょうか。
一方の久保棋王は右玉ながら、金が7八の地点にいるという不思議な陣形です。
力戦形の序盤から△8四飛△6四飛と飛車が回って、渡辺竜王長考の後、38手目2五歩と戦いが開始。1筋~2筋を中心に攻める竜王。
攻め続ける渡辺竜王、どう手を作るか注目ですが、60手目は桂取りの△8七香。解説の井上八段は「初めて見ました!」。予想外の1手ですね。次の▲9七桂の後の△6九銀が6四の地点の飛車を竜にする妙手。
その後も竜王の攻めは途切れることが無く、結局86手で久保棋王の投了となりました。振り返ると終始竜王ペースの展開でしたので、さばきのアーティストの久保棋王としては不完全燃焼だったことでしょう。
竜王得意の細かい攻めがつながり、終わってみれば苦手相手の対戦とは思えない快勝です。
感想戦の放送時間は22分ほど。久保棋王は敗れたせいか静かな語り口が印象的でした。
勝った渡辺竜王の次の対戦相手は深浦王位。またもやタイトルホルダー同士の対局ですが、放送は早速来週ではありませんか。連続登場の竜王は大忙しですが、収録はダブルヘッダー?
◇投了図。後手玉の囲いは無傷。
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