8月16日放送のNHK杯テレビ将棋トーナメントは2回戦に入り第1局。渡辺明竜王と小林裕士六段の対局でした。渡辺竜王はタイトルホルダーなのでシードで2回戦からの登場。小林六段は1回戦で森下九段を破っての勝ち上がりです。
解説は佐藤康光九段。対局者も解説者も豪華な顔ぶれですが、佐藤九段と小林六段は同じ田中魁秀九段門下。同門繋がりですね。もっとも佐藤九段は奨励会1年目くらいで関東に移ったので、同門にもかかわらず若い頃の小林六段とは面識がなかったとのこと。面白いものです。
両者の対戦成績は渡辺竜王の2勝1敗。さすがにクラスが違うので対局数は多くないですね。
先手は小林六段。居飛車党の両者ですが、序盤はサクサク進み予想通りの相矢倉に。ほぼ定跡形のためか40手目までは、ほとんどノータイムで進行しました。駒組みは先後同形ですね。早い指し手に佐藤九段の解説が間に合わないほどでした。
78手目△8六桂と8筋を攻める後手の渡辺竜王。自陣をしっかり固めて玉頭に狙いをつけるという、後手十分の将棋に見えます。
これは竜王が快勝の展開かと思いましたが、どうしてどうして小林六段もそのまま押されはしません。119手目▲1四歩から攻めに転じ、125手目の▲4六角打ちを経て147手目▲2四歩と、後手玉に詰めろが掛かります。
さぁ渡辺竜王は攻め続けるしかありません。これはどうなるかと固唾をのんで注目しましたが、30秒将棋でも竜王は落ち着いていましたね。△8六角から途中冷静に角を切るという連続王手で、154手で小林六段の投了となりました。
竜王が貫禄を見せてくれた対局ですが、終盤は小林六段の追い上げも見事で、スリリングな展開になり見応えがありました。
熱戦だったので感想戦を見たかったのですが、高校野球の中継もあり、残念ながら感想戦の放送時間はありませんでした。画面で見る対局後の二人の姿は、共に実力を発揮したせいか大変にこやかに見えましたね。
解説の佐藤九段の解説も論理的で、どんどん先を読んでいたように思います。司会の矢内女王も例によって手が見えていて、佐藤九段から「さすがですね。」と誉められていました。
勝った渡辺竜王の次の対戦相手は、久保棋王と佐藤五段戦の勝者ですね。こちらも注目です。
◇投了図。投了まで後手は4連続王手。
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