[更新:'09/07/02 カテゴリー分類についてを追記]
今回はこの6月に発売されたばかりの地元北海道ネタの書籍の紹介です。
○「札幌の秘境」 青木由直 著 北海道新聞社
秘境というとヒマラヤやアマゾンの奥地を連想する方も多いと思いますが、この本でいう秘境は少し違っていて、
1)意外な場所(対象)で、大都会札幌で、こんなところにこんな場所や物があったのかを満たすもの。
2)無料で自由に見ることができるもので、無料ということは秘境がビジネスの対象外で広義の公共性があること。
3)考えさせられる背景があることで、単に足を踏み入れたことのない場所ではなく、歴史や世の中の仕組みが働いて思いがけないものが顔を出してくるようなもの
だそうです。この都市秘境のコンセプトのオリジナルは、同じ著者による2006年出版の「札幌秘境100選」。今回は地元の大手出版社に認められて、はれの発行ということになります。
私は続編ともいうべき「江別・北広島秘境100選」の方を持っており(以前投稿した瑞穂池の話はこの本で知って散策したものです。)、絶版状態となっていた「札幌秘境100選」の発売も期待していました。
著者の青木由直さんは北大の名誉教授。北大を定年退職後に都市秘境に着眼し、取材を始められたとのことです。要ってみれば都市秘境という概念に着目された先駆者ですね。
今回の「札幌の秘境」に登場する秘境の数は50。100ではないのは少し残念ですが、内容は建物、神社・仏閣、歴史・碑、公園・景観、山、川、生き物、科学技術、暮らしの九つのカテゴリーに分類・整理されており、好きなところから読めます。
”人影のない藻岩山平和塔”や”発寒川での自然との共生”など誰が見ても秘境感満点のものから、中には”サッカーステージを引き込む札幌ドーム”なんていうものもあります。
プロ野球日本ハム戦では4万人以上のファンが集う札幌ドームがなぜ秘境?と思ってしまいますが、ご存じのように札幌ドームはサッカーの試合にも対応していて、その際には屋外で生育している芝のサッカーステージを屋内に移動させることになり、これが多分上記3)に該当するのでしょう。
あと体裁の特徴としては、とにかく写真が豊富なこと。各ページには文章と共に平均3~4枚の写真が掲載されており、百聞は一見にしかずと言いますがなかなかビジュアルな本になっていると思います。
オールカラー205頁で1200円+税。大都市札幌の意外な側面を堪能したい方にはお薦めです。
◇写真は同書の表紙。腰巻きによれば”「秘境」という修飾語がついているけれど、本書は大都市札幌の紹介本であり、本書を片手に札幌散策を行うガイドブックになりうる本と考えている。”とのこと。
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