風薫る5月になりましたね。早いもので今年も3分の1が経過しました。今回は以前紹介させて頂いた「北海道鉄道駅大図鑑」に続く北海道ネタの書籍の紹介です。
○「北海道の森と湿原をあるく」 河井大輔 著 寿郎社
北海道というと”雄大な大自然”を連想される方は多いのではないでしょうか。著者の河井大輔氏は大阪生まれで19歳で札幌に移ったネイチャーフォトライター。現在は道外に在住されているようですが、以前読売新聞の北海道版に氏の自然紀行の連載があり、たまたま名前を知っていたことから、買い求めていた本です。
・緑の森の写真が満載。次々に現れる緑色が目にしみる。
この本は北海道の森と湿原を散策してみたい人のための「自然遊歩道案内」。
本書の前口上によると、著者の言う「あるく」とは登山でもウォーキングでも無く「遊歩」で、自然を「歩く・見る・聞く」ことだそうです。普通に歩けば十分もかからぬ道を、数時間をかけて味わいながら進む散歩のようなこととも書かれており、一種の浮世離れ体験ですね。
この本の構成の特徴の一つは各遊歩道毎に、見開きのカラー写真の後に地図付きの見開きの文章が続くということ。つまりページをめくる毎に交互に緑一杯の自然風景の写真が目に入る訳で、文字通り緑が目にしみるような印象です。
もう一つの特徴は掲載されている地図。単なる道しるべでは無く、このあたりには○○の花が見られるとか、シマリスが姿を現すとか各ポイント毎の見所が具体的かつ要領良く記述されていることです。
役に立つのは巻末の付録。自然散策時の服装と持ち物、危険な生き物への注意事項が丁寧に記述されています。北海道の危険な生き物と言えば、ヒグマを連想する方が多いでしょうが、トップに登場するのはスズメバチ。これは本州各地と全く同じですね。
紹介されている森と湿原のコースは105。私は生粋の道産子ですが、残念ながらこの中で実際に歩いたことのあるのは片手で数えるほどです。近くまでなら行ったことがある・・・というのは結構あるのですが。現実は浮き世にどっぷり漬かった生活をしているわけです。
不思議なのは野鳥にも造詣の深い著者なのに、広く知られたウトナイ湖のバードサンクチャリが紹介されていないこと。アクセスの良い遊歩道が整備されており、有数の野鳥の宝庫なのに何故でしょう。何か大人の事情があるのかな。
全275頁で2800円+税というのは気楽に買える値段とは言えないかもしれませんが、フルカラーということを考えるとやむ得ない価格でしょう。ビギナー向けとは言え、北海道の自然を気合いを入れて楽しみたい人向けの、ある意味専門書ですね。
掲載されているコースの中で、比較的気軽に行ける私のお薦めは石狩海岸・石狩浜。砂浜と灯台、360度開けた視界。ハマナスの咲く頃行くと最高!

◇森林の緑が一杯の表紙。本文の方も緑の写真が満載。
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